Day2 試合の流れと注目プレイの解説

Day2 試合の流れと注目プレイの解説

8月24日から8月25日の2日間、9月末にLFS池袋 esports Arenaにて行われるオフライン大会「GALLERIA GLOBAL CHALLENGE 2019」へ繋がるオンライン予選のDay1、Day2が行われた。

Day1、Day2では白虎トーナメント、青龍トーナメントの2つが行われ、オフライン大会への4つの枠のうち2つを巡る戦いを繰り広げた。そして、本記事では両トーナメントの決勝戦「Ignis vs 即席」、「Absolute vs Updraft」での注目プレイ、注目シーンについて解説する。

白虎トーナメント決勝 Ignis vs 即席

白虎トーナメント決勝ではAbsoluteに次ぎ大会経験が豊富なIgnisとDay1の試合にて即席とは思えない連携プレイを見せたshoushi選手率いる即席の試合が行われた。

堅実な守りを見せるIgnis

1stマップMirageの1stラウンドでは、優位に立てるポジションを確保する事の重要さが感じられた。カウンターテロリスト側のIgnisはRIPablo選手のみをCTベースに置き、Bサイトに4人配置するBラッシュ警戒のポジショニングを取るが、即席のshoushi選手が地下よりコネクターを登りジャングルを確保、shoushi選手がジャングルを確保した事により即席はAサイトを攻める事を選択、即席側はBロングからAランプに移動しAサイトを容易に確保し、そのままラウンドを獲得した。

CSGOは他のFPSと違いマネーシステムが採用されており、キルやC4の設置・解除、ラウンドの勝敗等でお金を稼ぐ、そのお金を使い武器やアイテムを購入するシステムだ。ラウンドを生き残る事により、次のラウンドまで武器やケブラー等を持ち越すことができる為、このラウンドで即席側は1人もやられる事なく勝利した事により、次のラウンドへケブラーを持ち越す事ができ、2ラウンド目より全員AKを揃える事ができた。

2ラウンド目に全員AKを揃えたものの、Ignisは限られた資金の中でハンドガンやサブマシンガンに加えケブラーを購入するいわゆるフォースバイを選択、即席側はエコプッシュを警戒するもneth選手、poem選手のDesert Eagleのヘッドショットにより、即席は不利な人数差となった。即席は不利な人数数差の中、Bサイトに攻め入るがneth選手、oitaN選手の強固な守りにより、Ignisはラウンドの取得に加え、コストゼロでAKを4本獲得した。

Ignisは試合を通してBサイトにチームのエースプレイヤーであるneth選手、oitaN選手の2名を基本的に配置し、非常に堅い守りを見せた。両プレイヤー共に非常にきれいなAIMを見せ、弾を当てにくいと言われる空中にいる敵に対しても綺麗にキルを獲得、エコ相手とは言え設置すら許さない非常に堅い守りを見せた。そのままIgnisは流れに乗りラウンドを連取、11-4でハーフラウンドを繰り越し16-5で1stマップMirageを先取した。

オーバータイムにもつれ込んだ熱戦のNuke

続く2ndマップNukeは基本的にカウンターテロリスト側が有利と言われており、テロリストはクリアリングするポジションが非常に多いうえ、ドアや白コンといった狭い場所よりしか基本的に勝負する事ができない為、よほどAIMに自身が無い限り勝負する事はできない。Nukeでは即席がカウンターテロリストからスタートした為、Ignisピックではあるがなかなか刺さらず、1stマップと打って変わり即席が11-4でリードを広げハーフラウンドに入った。

後半ラウンドでは前半ラウンドでやられた事をそのまま返すようにIgnis側は堅い守りを見せ12-11までリードを縮め、ラウンドは互いに勝負ラウンドの14-14にまで持ち越した。

リスクの高い動きが出来ない勝負ラウンドの中、Ignisはあえて逆プッシュを選択、見事即席に刺さりラウンドを獲得、前半ラウンドでは大きく差をつけられていたが、ここでIgnisが逆転し、試合はマッチポイントの14-15となった。

しかし、即席もここで諦めたわけではない。先ほどのラウンドを落としてしまった為、武器も投げ物も十分に買えていないが、Peasy選手のサブマシンガンのUMPで1キルを皮切りに、ドアからダクトへ降りBサイトを確保、更にPeasy選手の2キルが重なりラウンド獲得、15-15でOTへ、通称オーバータイムと呼ばれる延長戦に持ち込んだ。

オーバータイムは両チームともにマネー16000からスタートし、毎ラウンドほぼフルで武器を購入する事ができる。CT側のIgnisはオーバータイム1ラウンド目からAWPを2本用いテロリストの即席側に設置すら許さない動きで2ラウンドを連取した。

17-15でIgnisがリードしている中、即席はラウンドリードしているIgnis側がプッシュしてくる事を読みテロリストとしては非常に珍しいAWPを3本購入、プッシュ警戒の体制へ入った。プッシュしてきたIgnisを2キルし人数差を作り、そのままラウンド獲得するかと思われたがIgnisは既にAサイト、Bサイト共に確保しており、そのまま即席は設置サイトに攻められず18-15でIgnisはマッチポイントとなった。

マッチポイントのIgnis。neth選手は連射ができるスナイパーライフルG3SG1を購入、プロシーンでもあまり目にしないブーストポジション*を披露。見事タワー上のkreamer選手をキルしますが、shoushi選手、Peasy選手は既にプッシュしておりブーストを終えたIgnis側3人をダウン、ラウンドを獲得した。

*解説のMarmelo氏も仰っている様にこのブーストは最近発見されたポジションで、以前アジア大会でもシンガポールのチームBOOT-d[S]が使用していた。

オーバータイム5ラウンド目にてIgnisはドアラッシュを選択、難なくAサイトを確保しサイト付近にも寄せ付けないムーブを見せつけ、19-16でIgnisが2マップを先取、オフライン決勝への切符を一足先に手に入れた。

青龍トーナメント決勝 Absolute vs Updraft

白虎トーナメントに続き、青龍トーナメント決勝では国内大会を連覇している”絶対王者”Absoluteと、過去にIgnisでのプレイがあるNorisen選手や経験豊富なプレイヤーを揃えたUpdraftの試合が行われた。

個人技の高さが光るUpdraft

1stマップのMirageでは、Udpdraftの個人技の高さが光った。ピストルラウンドより3ラウンドを連取し、流れは完全にUpdraftだった。

しかし、4ラウンド目、Updraftは完全にMIDを明け渡した事によりAbsolute側は容易にMIDを制圧しコネクターから登りAサイトを確保、設置まで試みましたが、cookie選手のサイトの箱抜きによって設置を阻止、しかしCTに敵がいる情報を得たAbsoluteはモロトフをCTに投げ2人のプレイヤーをダウン、その後少人数戦に秀でたcrow選手が冷静に1vs1を決め、ラウンドを獲得した。

CSGOのような爆破FPSは陣取りゲームの要素があり、いかに陣地を多くとるかがラウンドを獲得するカギに繋がる。4ラウンド目のようにAにもBにも行けるMIDをコントロールできたAbsoluteにとってサイトの確保は非常に容易になりラウンド獲得に繋がったと考えられるだろう。

前半ラウンドでは両チーム共に拮抗したラウンドが続き、9-5でUpdraftがリードを広げ後半ラウンドへ進んだ。後半1ラウンド目、Updraftはプッシュ警戒の詰め待ちの配置を選択、時間は残り1分に迫る中Aセットを実行し、AbsoluteをAサイトに集めますが、UpdraftはAに攻めると見せかけ本命はBのAフェイクBを決行、既にBサイトを確保していたcookie選手によりBサイトは容易に確保しC4を設置、その後EROC選手の3キルに1stラウンドを獲得、Updraft側は個人技に加え、コミュニケーションの強さを見せたラウンドとなった。

Upadraftは12-6とラウンド差を2倍に広げ、Absolute側も負けじと13ラウンドまで獲得しますが、16-13でUpdraftが1stマップのMirageを獲得した。試合を通し、裏取りや設置ポイントの確保といったマップ理解という点で僅かにUpdraftが長けていると感じた試合だった。

AbsoluteはG2やFnaticといった世界で戦うチームにおいてもMirageで接戦を見せMirageは得意マップという印象であったが、昨年のGGC 2018のオンライン予選においてもAntiteseにMirageで敗北しており、環境や大会によって勝敗が変わる所もCSGOの面白さの1つだろう。

Mirageに続く2ndマップのOverpassは、1stマップを落としたAbsoluteにとって何が何でも獲得したいマップだ。今年の中旬まで筆者はOverpassがAbsoluteのBANマップと考えていたが今年中旬に行われたIEM Sydney 2019 東アジア予選決勝のMVP PK戦ではOverpassをピックしている事から、大切な試合ではOverpassをピックしているように考えられる。

1stラウンドでは、Updraft側はBセットを決行、Norisen選手の時間差によるフラッシュバンが上手く刺さりAnker選手、Flex選手がそれぞれ2キルを獲得しBサイトを制圧、そのままラウンドを獲得した。

キルログに連なるNorisen選手のフラッシュアシスト
キルログに連なるNorisen選手のフラッシュアシスト

しかし、Absoluteは2ラウンドにてフォースバイを決行、Reita選手、barce選手が素早く地下を獲得、Norisen選手、Anker選手が地下のリテイクを試みるが、既に地下はAbsoluteの4人に制圧されており、武器差を物ともせず数でラウンドを獲得した。

長年同じチームとして活動してきたAbsoluteの連携力にUpdraftはなかなか攻めきれずにいるが、個人技の高さが目立つUpdraft側も5ラウンドを返し9-6でラウンドを折り返した。

テロリストへ移ったAbsoluteはピストルラウンドよりtakej選手のエントリーと持ち前の連携力が光り次々とラウンドを獲得、13-6と大きくリードを広げた。

20ラウンド目にUpdraft側は限られた資金の中ハンドガンとケブラーを選択、AbsoluteのスタープレイヤーLaz選手を3段ブーストによりノーダメージでダウンさせ、ブーストに気づいたAbsoluteは人数が少ないであろうAサイトを急いで攻めに入る。OverpassはCT側のローテーションが非常に早い事が特徴のマップでありUpdraftはすぐさまCTに集まり、ハンドガンながらAbsoluteをその高いAIM力で制圧した。

このラウンドがターニングポイントとなり、Updraftは14-10までラウンドを追い詰めるが、猛攻もそれまで。Absoluteが2ラウンドを連取し16-10で2マップ目のOverpassを獲得した。

絶対王者の風格を見せたAbsolute

最終マップであるDust2はcrow選手のピストルラウンドでヘッドショット4キルや、AKの3キルと非常に個人技が高いシーンを披露し、流れを付けた。crow選手はTwitterにてAIMを鍛えるゲームKovaaK's FPS Aim Trainerをプレイする動画を稀にアップしており、非常に精密なAIMコントロールが伺える。その度重なる努力が今大会のプレイに結び付いたのであろう。

Dust2はテロリスト側がMIDをほぼ確実にコントロールできる事やMIDのダブルドアを先に見られる事からテロリストがカウンターテロリストよりやや有利と言われている。Absoluteは有利陣営であるテロリストに加え、数年共にしたメンバーとの連携力から前半ラウンドを11-4と大きく差をつけリードを広げた。

ハーフラウンドを折り返した後半ラウンドでは、Absoluteが先にマッチポイントである15ラウンドを獲得するが、Updraftは惜しくもカムバックならず16-8でAbsoluteの勝利、Ignisに次ぎAbsoluteがオフライン決勝への切符を掴んだ。

今回は惜しくもUpdraftは敗北してしまったが、国内の絶対王者であるAbsoluteに1マップ獲得した事は、選手たちのモチベーションアップにもなり、明日よりスタートする敗者復活トーナメントでもきっと勝ち上がれる事だろう。

注目チーム OGPOWER、Astrum

筆者の個人的な意見としてOGPOWER、Astrumに注目したい。OGPOWERは元DeToNaTorのimpalement、guin、Ayanox、Npointといった経験豊富なプレイヤーが参加しているミックスチームだ。敗者復活戦を順当に勝ち上がれば、Absoluteと接戦を見せたUpdraftと玄武トーナメント準決勝で対戦する事になる為、非常に注目が集まる試合となるだろう。

また、OGPOWERに加え白虎トーナメントで接戦の末、惜しくも即席に敗退したAstrumに注目したい。Astrumは宴第一杯にて関脇リーグを0敗で勝ち抜き、圧倒的な強さを見せつけ優勝したチームだ。しかし、チームをリードしたAWPerのderialy選手が試合後に全治2ヶ月の骨折をしたとTwitterにて明かしていた為、明日より行われる敗者復活戦に出場するかは今のところ不明だ。

ここ数年、日本のCouter StrikeシーンはAbsolute一強といった状態であったが、昨年よりIgnis、UpdraftといったチームがAbsoluteに勝利、もしくはマップを獲得する機会が増えてきた。国内リーグ宴やコミュニティ主催の大会が増えている中、日本のCouter Strikeシーンのレベルは明らかに上がっているだろう。また明日よりスタートするDay3、Day4に期待が高まる。

page top