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GGC 2020を終えて

8月に行われたVALORANT国内大会GALLERIA GLOBAL CHALLENGE 2020(以下GGC)、国内強豪16チームが出場し、日本一位の座、アジア大会出場をかけ国内有数のチームがタイトル獲得を目指した。

約2週に渡り行われた本大会は数多くの接戦の中、Absolute JUPITERの優勝で幕を閉じ、アジア大会へ出場、そしてアジア大会ASIA VALORANT SHOWDOUWでは決勝でライバルVision Strikersに敗北したとは言え、初出場の国際大会で見事準優勝といった結果を収めた。

GGCは2017年より毎年実施されるeスポーツの大会だ。これまでCS:GOを始めとした様々なタイトルで開催され、大会テーマである”Road to World”の名の通り、世界への架け橋としてチームを世界へ送り込んできた。

特にGGCの第一回、GGC 2017より開催されたCS:GO部門では、これまでAbsoluteが3連覇、そして今年初の開催となったVALORANTも同様にAbsolute(現Absolute JUPITER)が優勝、見事4連覇という偉業を達成した。

CS:GOより国内最強の座を我が物にするAbsolute、その強みとは一体何だろうか。

Absoluteの一番の強みを上げるとしたら、チームプレイの高さだろうか。国内外の多くのチームが強化を図るためメンバーチェンジを繰り返す一方で、Absoluteは4年以上核となるメンバーは変わらず、現在のメンバーでは2年以上活動を続けている。

そのチームプレイ、連携力の高さを感じられる動きはまさに試合にも表れている。特に人数差を活かした戦い、2vs1、3vs1といった人数の有利差がある場合、息の合った連携で確実に敵を仕留める。

そして、彼らは高い対応力の高さも持ち合わせている。CS:GOで、当初はLaz選手がIGL(In-Game Leaderの略で指揮官のポジション)を担当していたが、より強くなる構成を模索したAbsoluteは指揮官のポジションをcrow選手、そしてReita選手へと変更した経緯を持つ。そして、その都度実力は上がり、国内、そしてアジアでも勝率を伸ばしていった。

この対応力の高さはVALORANTにも見られる。9月に実施されたパッチ1.07のアップデートで強化されたブリーチもAbsolute JUPITERはいち早くエージェント構成に取り入れ、見事試合では勝利を収めた。また、チームのブレインとも言えるJUNiORコーチを筆頭に常に世界の戦術を研究しているとチームメンバーは所々で答えている。メタへの適応力の高さ、順応性も強さの理由の1つだろう。

日本でのVALORANTの熱気

今年6月に正式リリースされたVALORANTは国内eスポーツにおけるTier1タイトルとして確立されているように感じる。大会規模、大会視聴者数、プレイヤー人口、プロチームの数、どれにおいても国内最大規模のeスポーツタイトルといえるだろう。

国内のVALORANTの競技シーンはCS:GO出身の選手が多く存在する。振り返れば、国内のCS:GOシーンは人口が少なく、盛り上がりに欠けていた。GGCはCS:GO時代より国内では最大規模、最大の視聴者数を集めていたが、それでも同時視聴者数は最大で2,000人~3,000人と大勢の視聴者を集める事はできなった。

しかし、現在のVALORANTシーンを見るとどうだろうか。国内大会の視聴者数は優に1万人を超え、3万人、時には4万近くに達した。この数字はアメリカ、ヨーロッパシーンにも引けを取らない数字で、海外の有名選手、プロチームからも日本は注目地域として認識されている。

また、蓋を開けてみると、CS:GO出身の選手のほか、Overwatch、Fortnite、PUBGなど様々なタイトルからVALORANTへ転向してきた選手も多い。彼らも過去には国内トップで競い合った経験を持つプレイヤーばかりで、彼らの持つファンベースも取り込み、更にシーンは成長するだろう。

この熱気が衰えることなく、更なる盛り上がりを見せると考えると、日本は世界のステージに立つことが出来るポテンシャルを持っていると私は考える。

コロナ渦中、独自の形式で展開される競技シーン

今年の初めから世界で猛威を振るう新型コロナウイルス。新型コロナウイルスの影響により、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの全世界でオフライン大会の開催が中止となり、競技シーンで戦うトップチームはオンラインで戦いを続けている。

日本もその地域の1つだ。VALORANTリリース以降、国内有数のチームが続々とVALORANT部門を設立し、それに付随するよう多くの大会が開催されてきたが、大会の多くはオンラインでの開催となっている。

選手はステージに立ち、ファンは観客席からチームを応援といった従来のオフライン大会が開催できない中、国内の競技シーンは独自の形式で展開されてきた。

1ヵ月の期間をかけトーナメント形式で優勝を目指す大会、毎週決まった曜日に試合が行われるリーグ形式の大会、アマチュアからプロまで気軽に参加できる1Dayの大会など、スポンサー・協賛企業の協力もあり、大会主催者は視聴者をより楽しませるコンテンツを展開してきた。

連日のように大会が開催される競技シーンは世界も同様で、ヨーロッパ、アメリカ地域でもNo.1をかけた大会が連日のように開催された。そして、日本ではAbsolute JUPITERが王者に君臨するよう、ヨーロッパではG2、アメリカではSentinels、TSMと既に競技シーンを支配するチームが現れている。

日本が世界で勝てるポテンシャル

現時点ではAbsolute JUPITERが国内No.1チームとしての地位を固めているが、SCARZ、REJECTと彼らを破るチームも少しずつ現れている。

CS:GOでは、大会数、試合数も少なく、戦術の研究には限りがあった。しかし、VALORANTでは連日のように大会が開催され、数多く残る配信アーカイブから戦術の研究も存分に行える。つまり、研究次第ではライバルチームを破る可能性も増え、新たな戦術の開発、メタの研究で更に他チームと差をつけることが出来る。

現在の日本の競技シーンはトップで競うチームが10チーム以上存在する。そんな彼らが日々切磋琢磨し、互いに練度を上げ、日本全体のレベルが上がれば、確実に世界で戦える地域へ成長すると私は思う。

また、現在のVALORNATの国内シーンは、シーンを支えるスポンサー・協賛企業のサポートもアジア諸国の中ではかなり恵まれた環境にあるのではないだろうか。大会に名を連ねる協賛企業、チームのユニフォームに入るスポンサー、誰もが一度は聞いたことある企業の名ばかりだろう。

そして、シーンを盛り上げるには、私達ファンの存在も必要不可欠であり、ファンの応援、サポートは選手のモチベーションに直結する。

例を挙げると、9月に話題となったAbsolute JUPITERのスタックの様子を描いた”角待ちJUPITER”。この投稿はVALORANT公式TwitterにもRTされ、3,000近くのRT、1万を超えるいいねが寄せられている。こうしたファンアートは選手、チームにも届いており、ファンからの応援同様に選手のモチベーションアップへ繋がるだろう。

VALORANTはパブリッシャーであるRiot Gamesからのサポートも手厚い。当初は夏にリリース予定だった本ゲームもコミュニティからの願望により前倒しにした6月のリリースになった。競技シーンではエコシステム構築を目指したIGNITIONシリーズ、地域No.1チームを決めるFIRST STRIKEなど、地域コミュニティに根付いた大会を積極的に開催しており、更なる盛り上がりを見せている。

現在はコロナウイルスの影響もあり、世界大会は開催できない現状だが、アジア、ヨーロッパ、アメリカの世界各国のチームが参加する国際大会が開催される日が待ち遠しい。

そして、GGC 2020のテーマである「Road to World」の名の通り、GGCからアジア、そして世界へ羽ばたくプレイヤーが現れるに違いない。本大会を通じて、世界のレベルを知り、そして世界で活躍するプレイヤーが誕生することを強く願う。

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