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GALLERIA GLOBAL CHALLENGE
2020 GROUP STAGE レポート

8月8日より日本トップの16チームが集う大会「GALLERIA GLOBAL CHALLENGE 2020」がスタートした。

今大会のグループステージは全試合BO3のシングルエリミネーション形式、プレイオフは全試合BO3のダブルエリミネーション形式と、 以前国内で開催された2つの公認大会とは打って変わって、運に左右されにくく、より顕著に実力が現れる試合形式となっており、 まさしく日本一のチームを決めるに相応しい大会形式となっている。

8月8日、9日に行われたグループステージ1回戦の結果は以下のような結果になっており、 RAGE VALORANT JAPAN TOURNAMENTで準優勝を収めたSCARZ、BEST4のBlackBird Ignisが敗れるといった予想外の展開となった。

グループステージ1回戦の結果

そして、2回戦へ進んだ8チームの中から、更に勝ち進んだ4チームが今週末8月15日、16日に行われるプレイオフへ進む。

当記事ではグループステージ1回戦を通過し、Twitchで配信されたグループステージ2回戦の「REJECT vs SunSister」、 「Absolute JUPITER vs Crazy Raccoon」を注目プレイ、注目シーンを試合の流れと共に解説する。

REJECT vs SunSister

2回戦第1試合は両チーム共にCounter Strikeにルーツを持つプレイヤーで中心に構成されたREJECTとSunSisterの対決となった。

優れたキャラコントロール、AIM力と”魅せる”プレイを多く見せる印象を持つREJECTは神の子と評されるDep選手を筆頭とした、CS:GOにルーツを持つKaminari選手、HaReeee選手、feez選手、Dhimoruto選手の5人で構成されている。

一方でSunSisterはクレバーな立ち回りで知られるNoriseN選手を筆頭にkreamer選手、Peasy選手、Overwatchの競技シーンで2年以上に渡り活躍した経験を持つAmeKen選手、CSO、Overwatchをプレイした経験を持つプレイヤーなら名前を知っている人も多いだろうSkyfull選手の5人で構成されている。SunSisterはSkyfull選手が加入し僅か10日間程度の活動ではあるものの、RAGE VALORANT JAPAN TOURNAMENTではBEST8に入賞しており、息の合ったプレイを見せている。

REJECT vs SunSister 1stマップ:バインド

1stマップはバインド、バインドはA、Bの両方にアクションを起こせるミッドが用意されておらず、A・B間を行き来できる2つのテレポーターが特徴的なマップである。駆け引きが非常に重要で足音、アビリティなどの情報がカギを握る。

最初の注目シーンは1stラウンドのREJECTの攻撃、マップ中央に1回、2回とテレポーターと繰り返し入り、SunSister側のサイトの人数配置を混乱させる作戦に出た。この作戦の見どころはREJECTが繰り返しテレポーターに入ることにより、SunSisterはA、Bのどちらに人数をかけるかの判断が難しくなり、サイトより後ろで守る配置となるため、スパイクの設置が容易となる。

結果としては、ポジション毎に上手く人数をかけたSunSisterがリテイクを決めラウンドを獲得したが、REJECTにとっても勢いづいたラウンドであったように感じる。

1stラウンド、2ndラウンドを獲得したSunSisterの流れとなるかと思いきや、REJECT Dep選手は3ラウンド目よりオペレーターを持ちラウンドを連取。6ラウンド目にはDep選手のオペレーター3キルが炸裂し、勢いづいたREJECTは連続で8ラウンドを獲得、8-2まで一気にラウンド差を広げた。

SunSisterは1ラウンドを返したものの、陣営交換後もREJECTの流れは止めることはできず、13-3と10ラウンド差をつけREJECTが1マップ目を獲得した。

REJECTはアグレッシブさが魅力のようにも思えるが、その一方で引くところは引く、攻めるところは攻める、ピークする際もカバーをつけトレードキルをしっかり行うといった様子が伺え、5vs5のタクティカルFPSの基本の動きをしっかりと行えているように感じた。

REJECT vs SunSister 2ndマップ:アセント

2ndマップはアセント、アセントはAサイト、Bサイト、中央のミッドの3レーンに重点を置いた5vs5のタクティカルFPSの伝統的なマップ形式を採用しているマップである。

陣営はREJECTのディフェンダースタート、SunSisterはアタッカーでスタートした。REJECTのエージェントピックの注目点として現環境でメタの1つとされるエージェント、サイファー、セージの2人のセンチネルをピックしない構成を選択、防衛に有利な2人のエージェントをピックしないこともあり、ディフェンダースタートのREJECTはどういう防衛を行うか非常に注目される展開となった。

REJECTは3人のデュエリストを活用し、A、Bのどちらかをピークし圧力をかけ敵がいるか、人数をどれほど割いているかを確認するラウンドが多く見受けられた。そのために、設置後のシフトも非常に早く、設置する前にはチームの半分のプレイヤーがサイト周辺に寄れる配置を作れていた。ピークを行わないラウンドでも、オフアングルで斜線を配置し、1キルをとったら引くといった基本的な守りが出来ていた。

Dep選手の素晴らしいプレイ、オフアングルからファーストブラッド、テイルウインドでサイトまで引き味方のカバーを待つ体制を作れた

前半ラウンドはREJECTが常に支配し、両者ともにスコアボードを見ればそこまで大きな差は見られないように見えるが、REJECTのHaReeee選手、Dep選手の非常に強固な守りにより、SunSisterは上手く攻め入ることはできず前半ラウンドは9-3でREJECTがリードを広げ折り返しとなった。

HaReeee選手のヴァンダル3キル、2ラウンド連続でAサイトを守り抜いた。キャスターの裏切りマンキーコング西澤氏の例え通りに頭に吸い寄せられるAIM

後半ラウンド、Dep選手のテイルウインドによりサイトを切り開き、HaReeee選手、Kaminari選手のカーブボール、リーアを使いSunSisterのサイトの人数を少しずつ確認する駆け引きが多く見られた。

駆け引き時にミッドを取れていたREJECTは、Aサイト、Bサイトの両方を常に圧をかける状態を作り、デュエリストにエントリーを任せ後続をかけサイトを奪う形が常にできており、13-5で2マップ目を取得、いち早くプレイオフへ足を進めた。

特にこの試合で輝いたのはREJECTのHaReeee選手、2マップを通してのスコアは41キル20デス8アシストとK/Dは驚異の2.05、国内でもトップレベルのフェニックス使いではないだろうか。

Absolute JUPITER vs Crazy Raccoon

VALORANTの競技シーンがスタートして以来、常に注目を集める両チームであるため、解説は不要だと思うが、Absolute JUPITERはCS:GOの20回数以上の国内大会で優勝、世界大会WESG 2019ではBEST8、アジア大会では2回のBEST4の経験を持つチームだ。今年3月にCS:GOからVALORANTへの移行が発表され、現在はRiot Games公認大会で2連覇を成し遂げている。

一方でCrazy Raccoonは7月末にVALORANT部門を開設、他のチームと比較して競技シーン参入は後手になるが、公認大会でBEST4を収めたBAKEMONのメンバーで構成されている。Fortniteから来た高いAIM力、キャラコントロールが注目のチームで、国内でも注目されるチームの1つである。

注目される両チームの対決だが、キャスト陣の勝利予想は以下のようになっている。

キャスト陣の勝利予想

6人中5人が長年共にプレイしている連携力、実力差が顕著に出やすいBO3を見込み、Absolute JUPITERを選択する中、実況のOooDa氏のみCrazy Raccoonを選択。「Absolute JUPITERがラスボスなら、Crazy Raccoonは主人公、主人公がラスボスに負けるわけがないだろう」と、Absolute JUPITERの勝利を予想するコミュニティ、キャスト陣とは反対の予想を選択した。

Absolute JUPITER vs Crazy Raccoon 1stマップ:ヘイヴン

stマップはヘイヴン、コミュニティの期待通りにAbsolute JUPITERが序盤からラウンド差を広げるかと思いきや、序盤から取って取られてを繰り返すシーソーゲームに突入した。

ヘイヴンは3つのサイトを持つことが特徴的なマップだ。Absolute JUPITERは3つあるサイトの1つを空け、2つのサイトに集中する守りが見られ、空けたサイトにはサイファーのトラップワイヤーを設置し、敵に侵入のみを確認、人数をかけたリテイクで取り返す作戦である。この作戦はじゃんけん要素もあり、噛み合った場合は強固な守りを発揮することが出来る。

キャスト陣の勝利予想

ラウンド開始時、Aに2人、Cに3人を配置するAbsolute JUPITER

Crazy Raccoon、 Zepher選手のエントリー、キャラコントロールに驚かれるが、特に印象に残る選手はMedusa選手、前日に引き続く素晴らしい一貫性を見せている。リコンボルトでの索敵、ショックダーツでのトラップワイヤーの破壊、クリアリングと攻撃の中核を担う動きを見せた上、更にはクラッチ能力も高いと1人で何人分もの働きを見せた。

Medusa選手はFortniteのアジアトッププレイヤーの印象が強いがCrazy Raccoonの公式サイトを覗くと「CSGOでは韓国トップチームでのプレイ経験がある。」と記されている。Fortniteで鍛えたAIMに加え、更にはCS:GOで学んだ立ち回りを兼ね備えているとなるとこのプレイにも納得である。

Medusa選手の裏どり警戒からの4キル

前半ラウンドは7-5でCrazy Raccoonがリードを広げ後半ラウンドへ、後半ラウンドも前半ラウンド同様にシーソーゲームへ突入、両者共に非常に激しい攻防が繰り広げられた。

Reita選手のオペレーターでファーストブラッドを獲得するが、Crazy Raccoon、Zepher選手、Tonbo選手の見事な2vs4での取返し

barce選手の決死のスパイク設置からの激しい攻防、OooDa氏「(最後の最後まで)どちらが勝つのかわかりません」

Tonbo選手のシェリフ1ショット2キル、フルバイラウンドではないもののAbsolute JUPITERを3人持っていく

Absolute JUPITERが12-9とマッチポイントまでもつれ込んだ22ラウンド目、Zepher選手のスモーク上からオペレーターでの2キルが炸裂、ラウンド開幕から2人を減らされたAbsolute JUPITERは攻撃の選択肢が狭まり、流れを付けたCrazy Raccoonは3ラウンドを連取、延長戦オーバータイムへもつれ込んだ。

オーバータイムは両チームともにクレジット5000からスタートする延長戦、2ラウンドの差が付くことにより勝敗が決定する。クレジット5000のスタートということもあり、オペレーターを購入する際はヘビーアーマーを購入することが出来ないが、Reita選手はヘビーアーマーは愚か、ライトアーマーも購入せず、オペレーター、アビリティを潤沢に購入した。

そして、この選択は功を奏した。オウルドローンを確認したReita選手は強欲にキルは取りに行かずサイトまで引き、takej選手と共にAロングから攻め入る敵を守り抜いた。もし、ロングでピークしていた場合、ファントム、ヴァンダルの餌食となり、きっとサイトは取られていただろう。

Crazy RaccoonはRion選手の守りにより1ラウンドを取り返したが、Absolute JUPITERが2ラウンドを連取、15-13の接戦の中、Absolute JUPITERが1stマップを獲得した。

試合を通して武器を購入しないエコラウンドと言ったものがあまり見られず、両者ともにクレジットに余裕がないラウンドもバッキー、ゴーストといった状況によってはファントム、ヴァンダル、オペレーターに打ち勝てるといった武器を使用しており、観戦していても楽しめるラウンドが非常に多い試合だった。

Absolute JUPITER vs Crazy Raccoon 2ndマップ:バインド

2ndマップはバインド、今後の試合を左右する重要な1stラウンドではCrazy RaccoonがZepher選手のジェットを皮切りに僅か13秒でスパイクを設置、しかしAbsolute JUPITERのtakej選手のカーブボール、Reita選手のジェットでランプからAショートを素早く取得、ブリムストーンのインセンディアリーで時間稼ぎをする間も無く、1stラウンドを悠々と取得した。

アビリティ、情報戦が重要になるバインドでCrazy Raccoonもテレポーターを上手く使いサイト間を揺さぶってはいたが、Absolute JUPITERが一手、二手も上手だった。マップコントロールは常にAbsolute JUPITERが握っており、Crazy Raccoonが前半ラウンドで取れたラウンド数はなんと2ラウンドのみ、10-2でリードを広げAbsolute JUPITERが後半ラウンドへ進んだ。

takej選手が既にBの前目を取っているためAbsolute JUPITERはAサイトに4人配置、Crazy RaccoonはBサイトを攻めるが時間も残り少なくスパイク設置に間に合わなかった

takej選手、Laz選手のセットプレイ、barce選手のパラノイアがCrazy Raccoonのセットプレイを完全に破壊した

後半ピストルラウンドではAbsolute JUPITERが取得、Crazy Raccoonは開いたラウンド差を埋めることが出来ず、13-2で試合は終了、Absolute JUPITERが2-0でプレイオフへ進出を決めた。

VALORANTはエージェントによってプレイスタイル、役割も異なるため、最も活躍したプレイヤーを選ぶことは非常に難しい。しかし、2マップ目は紛れもなくReita選手だろう。スコアは22キル5デスでファーストブラッドは5回、味方のカバー、情報もあってのスコアだが、ここまで一貫性を持ってスコアを維持することは簡単ではない。

Crazy Raccoonは惜しくも敗退したがCrazy Raccoonとして初の大会出場、正式メンバーではないArius選手を入れてのBEST8は今後に期待される結果となった。多くのチームがCS:GO出身のプレイヤーを囲っている中、Fortnite出身のプレイヤーで構成されたチームで結成僅かでAbsolute JUPITERをここまで追い詰める結果は、CS:GO出身以外でも今後更なる強力なプレイヤーが続々と誕生してくることを意味しているだろう。

プレイオフ進出4チームが決定

3日間に渡り行われたグループステージを経て、プレイオフへ進出する4チームが決定した。SCARZ、DetonatioN Gaming、BlackBird Ignisといったプレイオフ進出候補チームを抑え、Absolute JUPITER、Lag Gaming、CYCLOPS athlete gaming、REJECTの4チームがプレイオフへ進出した。

プレイオフはダブルエリミネーション形式(敗者復活戦有り)の全試合BO3であるため、日本1を決めるにまさに相応しい大会形式となっている。トーナメント表は既に発表されており、プレイオフまで1週間の期間で各チームがどれだけ対策を練っているか、作戦の完成度を高めていくか、必見である。

プレイオフ進出4チームが決定

Absolute JUPITERにとって、GGC 4連覇がかかる今大会は非常に重要な大会であり、優勝賞金100万円より大事なものがあるように感じる。CS:GO時代より思い入れの強い大会、そして今年度はVALORANTでの開催、RAGEでの2連覇に引き続き、絶対に負けたくない大会だろう。

出場する全てのプレイヤーにとって、賞金も勿論ではあるが、”国内大会のタイトル獲得”は非常に重要なものである。新型コロナウイルスによる影響も収まり、競技シーンが構築されていくにつれ、VALORANTの国際大会が開催されることは間違いないではないだろう。

国内大会タイトルを獲得し実績を重ねることにより、今後開催されることが期待される国際大会への招待権などを得られることは、まさにこの大会のテーマとして置いている”世界に繋がるeスポーツ大会”、そのものであるように感じる。

余談ではあるが、実況のOooDa氏が配信内で「おっさん、嬉しい」と何度も述べていた気持ちは非常によくわかる。私自身、Counter Strikeの競技シーンを長く追っているものとして今大会に出場しているプレイヤーは名前に覚えがあるプレイヤーが多く出場しており、殆どのチームメンバーを見ても「この人CS:GOの大会で見たことがある」といったプレイヤーが非常に多い。

プレイオフへ出場したチームAbsolute JUPITER、CYCLOPS athlete gaming、Lag Gamingのflax選手を始めとした半数が昨年のGGC 2019(CS:GO)に出場したプレイヤーであり、CS:GOとは異なり、新天地VALORANTといったタイトルでの活動ではあるが、恵まれない環境の中、長らく活動してきた国内のCS:GOプレイヤーが、新たなる舞台VALORANTで名声を上げている様子を見るとCS:GO、VALORANTの両方のファンとして非常に嬉しく思う。

プレイオフは8月15日の10:00からGALLERIAチャンネルより開始される。グループステージとは異なり、全試合配信され、目が離せない大会となるだろう。

また、GALLERIAの公式Twitter(@GALLERIA_GM)ではリアルタイムで大会のフラグシーン、ハイライトシーンを随時発信している。リアルタイムで見ることができない方も是非GALLERIAの公式Twitterを追い、日本1を決める「GALLERIA GLOBAL CHALLENGE 2020」に注目してほしい。

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